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2013-04-30

身近にあるジャガイモを使って“体積を求める計算式”

身近にあるジャガイモを使って“体積を求める計算式”を教えた母肥山キヌ子様に、敬意を表します.

今年の猿橋賞を 「量子少数多体系の精密計算法の確立とその展開」研究の肥山詠美子博士が受賞されたと朝日新聞の“ひと”で読んだ。

猿橋賞は、(女子学生が1割に満たない男性だらけの大学生活を送った私たちの世代にとって)若手女性研究者を支えるありがたいプログラムだったので、毎年受賞テーマの変遷を興味深く読んでいる。

小学生の頃勉強が苦手だった詠美子さんは、母キヌ子様が台所からジャガイモを持ち出し、1センチ角に刻んで、箱に並べて体積を求める計算方法を教えられたという。私はなぜか、涙がにじみ出てきて、止まらなくなった。

ジャガイモだから大きさは自由自在に切ることができる。母子二人で1個ずつ数えて、多分繰り返し数えて並べたのだろう。 自分の母とのことも思い出してしまった。

身近な素材や事象を活かして、生きることや食について学ぶ、日常生活で実践する、人にも伝えるという食生態学が大事にしているやり方に似ている。

“1食に何をどれだけ食べたらよいか”のイメージ形成に、身近な弁当箱を使う方法や、鍋の大きさやお玉の大きさをみそや調味料の適量把握の道具に仕立てる方法も似ている。

食べることは生きている人すべての営み、年齢や知識量を超えた普遍性の高い営みなので、無限に近い“教材性”を持つ。

肥山家の、その日の夕食はカレーだったとのこと。1センチ角に切り揃えられたジャガイモ沢山のあたたかい、おいしいカレーだったことでしょう。あたたかい夕食が今、世界の最先端を行く原子核研究者を育ててきたのだと、あらためて敬意を表します。

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