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2013-07-01

自分が何をどれだけ食べたらよいか”のイメージを育てる

自分が何をどれだけ食べたらよいか”のイメージを育てる
―「3・1・2弁当箱法」をベースにした食事・食事づくり法の実践

6月23日に、第22回日本健康教育学会学術大会(学術大会長 高橋浩之千葉大学教授)のワークショップ<“自分が何をどれだけ食べたらよいか”のイメージを育てる ―「3・1・2弁当箱法」をベースにした食事・食事づくり法の実践>の開催は、体育や健康教育関係者の参加をいただき、テーマから問い直す、ありがたい機会になりました。
参加できなかった学会員から、当日使用した基本資料の請求が多いので、このブログで送ります。

当日の発題でも話しましたが、厚労省は<日本人の長寿を支える「健康な食事」のあり方に関する検討会>を発足させ、本ワークショップの次の日に第1回検討会を開催しました。
主な検討内容に
①日本人の長寿を支える「健康な食事」の概念の整理、
②「健康な食事」の意義や構成要素等の検討、
③「健康な食事」の目安の提示、等が挙げられています。
1980年代に料理選択型栄養教育の必要性や可能性を提唱し、これを基礎とする「3・1・2弁当箱法」をベースにする食事・食事づくり法(以下、「3・1・2弁当箱法」)のコンセプトや実践実績が具体的な検討のたたき台の一つになると、今まで付き合いの少なかった分野の人からも問い合わせが来ています。
とてもうれしく思う気持ちと、一方で一方厳しく内容の充実が問われるようで、気が引き締まる思いです。

<ワークショップの概要>
○ワークショップで共有したいこと
一昨年公表された「第2次食育推進基本計画」や今年から10年間の実践方向を提案する「健康日本21」(第2次)は、共に、各人それぞれの生活・環境下での“実践”をコンセプトにあげている。繰り返し使われてきた”実践”という言葉が、今、改めて前面に取り上げられるのはなぜか。

健康教育では望ましい行動実践のための知識提供、その行動化を進める態度変容や向上のすすめ、その促進への環境整備と常に”実践”をめざして、より有効な方法やシステム作りが試行され、関係者がその実践へと努力してきた。
にもかかわらず、生活者ひとり一人の日常生活の中で“望ましい食事”の実践につながりにくい。

原因はいろいろあげられようが、その一つに、“望ましい食事”の必須項目といえる“何をどれだけ食べたらよいか”のイメージ形成に直接役立つ教材が無い、数値で示されていても具体的な食事のイメージにつながりにくいことが挙げられる。

「3・1・2弁当箱法」は、筆者らが研究開発した料理選択型栄養教育の枠組み(栄養素選択型や食材料選択型栄養教育との整合性を検証の上、提唱してきた。“主食・主菜・副菜料理を組み合わせる食事・食事づくり”がその具体的な教材)を基礎に、人々が何をどれだけ食べたらよいかについて、からだ・心・くらし・地域や環境づくりの各面から“望ましい1食”をつくるために開発し実践してきた。

このワークショップでは、教育や生活現場での実践事例を共有し、1食のイメージ形成への効果や課題について、議論をすすめたい。

○プログラム:
1 発  題:なぜ、「3・1・2弁当箱法」か?
ゴールは「3・1・2弁当箱法」をベースに、“弁当箱”から脱皮し、「食」を営む力を育む
足立己幸(名古屋学芸大学健康・栄養研究所長、食生態学・食教育学)

2.話題提供:
(1)「子ども自身が構想し、発信する食事づくりセミナー」で、小学生が地域高齢者へ
「3・1・2弁当箱法」をベースに作った昼食をプレゼントするプログラム
田中久子(女子栄養大学教授、公衆栄養学)
(2)「3・1・2弁当箱法」をベースに展開していく筑駒LBC
加藤勇之助(筑波大学附属駒場中・高等学校保健体育科教諭)
早貸千代子(筑波大学附属駒場中・高等学校養護教諭)
(3)“食べる人にとって適量でバランスのとれた食事”力形成のツールとして活用する「3・1・2弁当箱法」―家庭科教諭研修を例に
高増雅子(日本女子大学教授、家庭科教育学)

3. 実験
○参加者の内、体験学習希望者が持ち込んだ料理を使って、「3・1・2弁当箱法」をベースに自分にとって適量でバランスの取れた1食づくりや市販弁当の超簡単チェックを体験学習する。
針谷順子、薄金孝子、安達内美子
(NPO法人食生態学実践フォーラムの食生態プロモータズ)

4. 全体討議

<「3・1・2弁当箱法>のコンセプト
A 食事の全体像を描く力(食事全体を俯瞰し、全体イメージを描く力)の形成面から
・部分吟味優先から、実際の行動と同じ「全体チェック」優先へ
・栄養素選択や食材料選択から、食卓での選択行動の対象形態である「料理」選択へ
・細かな数値を使う重量把握から、見てわかる「容積・面積」把握へ
・細かな数値 計算から、「目測・概量把握」へ
・ 加算方式から、「全体量と割合」へ
・計算機や計量器等特殊な道具使用から、弁当箱や密閉容器等「身近な食具」使用へ
・1日単位から、食べる行動の1単位である「1食単位」へ、等

B 内発的、主体的学習意欲の形成面から
・わかりやすい
・楽しい
・マイペースの学習ができる
・異世代、異健康状態、異学習ニーズ、異ライフスタイル、異文化の人々と共有しやすい、等

C その人なりの健康・健康づくりへ貢献できる

D その人なりの食生活力の形成に貢献できる

E その人なりの生活・生活の質の向上へ貢献できる

F それぞれの地域・環境の質と、生活の質のより良い共生へ貢献できる、等。

これらのコンセプトについて、「3・1・2弁当箱法」での実現可能性や有用性に関する検討が、食材料・栄養素構成、味やその多様性、健康状態(体格指標)、食知識・食態度・食行動の形成、理解しやすさ・他の人びととの情報の共有しやすさ、糖尿病患者の自立的食事法の形成、そして自給率、地元産物活用率の確保等の各側面、およびこれらの関係性から実証してきた。

[出典]足立己幸:「3・1・2弁当箱法」は“何をどれだけ食べたらよいか”の具体的なイメージ形成を期待して誕生したはず―しなやかに展開する第Ⅲ期を迎えて、原点を問う、食生態学―実践と研究、6,2-5(2013)

<「3・1・2弁当箱法」に関する基本資料>
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