足立 己幸 ( Miyuki Adachi PhD, RD)
専門等
保健学博士(東京大学)、管理栄養士
女子栄養大学名誉教授・名古屋学芸大学名誉教授(食生態学、食教育学、国際栄養学)
日本公衆衛生学会名誉会員、日本健康教育学会名誉会員、日本生活学会名誉会員
経歴等
1958年 東北大学(農学部) 卒業。
東京都衛生局技師(杉並東保健所、衛生局栄養課で管理栄養士)等を経て、1968年より女子栄養大学へ。大学・大学院教授、大学院研究科長等を経て、2006年4月より名誉教授。
2006年4月より名古屋学芸大学大学院教授(栄養教育学特論、国際栄養学特論等)、2011年4月より名古屋学芸大学健康・栄養研究所長、2014年4月より名誉教授。
人間らしい“食べる”とは?
それらは地域の中でどの様に営まれているか?
形成され・伝承されていくのか?
そして生活や地域形成に貢献・影響していくのか等を明らかにする「食生態学」を提唱し、理論構築と実践をすすめてきた。
「食生態学」の視座で、
①実践につながりやすい、あたたかい食事法として、料理選択型栄養教育「主食・主菜・副菜を組み合わせる食事」や、適量でバランスの良い食事を簡単に準備し食べることができる「3・1・2弁当箱法」
②食べる人重視(心や人間関係を含め)「共食・孤食」を大切にする食事像形成、
③これらをそれぞれの地域性を活かして実現するために、さまざまな関係者(もちろん住民も)がアセスメント、目標やゴール設定、方法、結果の活用や評価、次の課題等を話し合い、分担しあうための基本マップ「人間・食物・地域の関係とその循環図」(「食」の循環図)等を、研究開発し実践してきた。
研究法の特徴は、実生活の中での「生活実践」や地域の特徴を浮き彫りにする「地域比較法」を中心とし、研究と実践の双方向検討である。
1983年から宮城県蔵王町遠刈田温泉エリアの食生態学実践セミナーハウスで毎年開催してきた“自然から食卓まで子ども自身が構想し、実践する食事づくりセミナー”がベースキャンプの役割を果たしてきた。
今、全国各所に、それぞれの実践の場が育っている。
例えば、
- 「日常的な魚摂食とその効果に関する食生態学的研究」の成果をふまえて作成した「さかな丸ごと探検ノート」を活用する「さかな丸ごと食育」活動(専門家養成と普及)
- 「3・1・2弁当箱法」を基礎とする食事・食事づくり法について、その有用性の科学的根拠の充実、教育プログラムや教材作成、その成果の教育関係者との共有・展開、さらに生産・食品流通関係者を含む連携・ネットワーク形成
この実践・研究メンバーが母体になって、2003年5月、“食を支える専門家を支える”NPO法人 食生態学実践フォーラムを設立し、18年間理事長を務める。
この間、ロンドン大学人間栄養学部客員教授、カーテン工科大学公衆衛生学部客員教授等として、開発途上国での食生態学研究や保健・栄養プログラム関係者への教育に携わる。
1976年からトンガ人の健康と食生態に関する学術調査隊長。
これらの方法論をふまえて、栄養・保健・女性の社会参加等の面からの国際協力(トンガ、ケニア、パキスタン、ネパール、バングラデッシュ、フィリッピン等)をすすめ、一方国際協力事業団医療協力、農業協力等プロジェクト委員、青年海外協力隊技術専門委員等を歴任する。
1999年5月発会の「味の素『食と健康』国際協力ネットワーク(AIN)」代表(2011年3月まで)。
国内では、農水省畜産振興審議会委員、水産振興審議会委員、厚生省中央児童福祉審議会委員、厚生省食生活指針策定検討会委員、食を通じた子どもの健全育成(いわゆる「食育」の視点から)のあり方に関する検討委員会委員等を また埼玉県、兵庫県、愛知県、神奈川県をはじめ全国各地の食育推進計画策定関連の座長や委員長を歴任した。
受賞歴
- 1981年 「料理の組み合わせ(主食・主菜・副菜)を区分の基礎とする食事パタンの試み」に対し、第28回日本栄養改善学会賞を受賞
- 1982年 「食塩-減塩から適塩へ」(女子栄養大学出版部)に対し、第36回毎日出版文化賞を受賞
- 1991年 「食生態学の視点からの栄養教育の方法に関する研究」に対し、第45回日本栄養・食糧学会学術奨励賞(学会賞)を受賞
- 1998年 「栄養の世界-探検図鑑、全4巻」(大日本図書)に対し、1998年度今和次郎賞を受賞
- 2006年 優れた国際協力活動でJICA理事長表彰
- 2007年 管理栄養士・栄養士の活動等に関し、広く社会にアピールする等の貢献に対し、社団法人日本栄養士会「栄養改善功労賞」を受賞
- 2014年 瑞宝中綬章受章