「共食と孤食 50年の食生態学研究から未来へ」が 朝日新聞の書評欄、1年の総括にあたる『書評委員19人の「今年の3点」』に取り上げられ、緊張しています
我が家の新聞の読み方は大変封建的で、(2人家族ですが)順番が決まっています。まず、92歳の夫が全頁をていねいに読み、私や別居している子どもたち家族が読みたいだろう記事や読んでほしい記事に赤の色鉛筆でマークを付け、そのあとに私に回ってくるのです。
でも、昨日(12月23日)の朝は違いました。「出てるぞ。俺が読んでからだ。15分後」とニヤニヤしていました。14分後にリビングに降りてゆくと、さらに「あと15分」と言い、赤の色鉛筆でマークをつけて手渡されたのです。ありがたい書評の発見者は新聞マニアの夫でした。
朝日新聞2023年12月23日(金)13版S 読書24ページ 胸高鳴る出会い 来年も 書評委員19人の「今年の3点」
わずか80文字の短文なのに、私がこの本で、一番書きたかったことを、ずばり、明快に書いていただき、感謝いっぱいになりました。
前段の「……研究者は『共食・孤食』は対立しないと説いた」の一文で、共食観・孤食観の転換の問い直しの提案であること、を。後段の「共食の場面を家族から地域、地球へと広げていくと、社会に何が必要かも見える」は、私個人や食生態学や学術を超えた「人間の日常の食の営み」への厳しく・やさしい応援歌であるように受け止め、胸がいっぱいになり、引き締まる思いでした。
ふと、本書が8月末に発刊されて、最初に受け取った1枚の葉書を読んだ時に、同じような感慨無量の気持ちになったことを思い出しました。
山口範雄氏が「政経では解けない分断の人類社会に対し、『共食の地球地図』の提案は素晴らしく……」と、絵ハガキの限られたスペースの真ん中に書いてくださったことです。一人残らずの人が人権として、持続可能に保障されるべき「食」。これは「生きること」に直結している、日常の行動だから、個人から地球・宇宙までの広がりの中で、すべての人が感じあい・考えあい・実行しあい・共有することが可能だから、一人ひとりがそれぞれの特徴を発揮しつつ、実現へ向けて参画できる……と書いてくださったと受け止め、ありがたい限りでした。
山口氏は食品系会社代表取締役社長・会長・消費者庁参与等を歴任される中、社長就任前から、私たち栄養・食からの国際協力現場の草の根活動で苦戦する人やグループへの継続的支援の体制づくり(AIN「味の素食と健康からの国際協力ネットワーク」1999~2011年 足立己幸が代表。2017年から念願の「公益財団法人味の素ファンデーション」に)に尽力された一人です。世界各地の多様な経済格差の現状を視野に「政経では解けない、分断の人類社会へ」と書かれたと受け止め、感じ入ったのでした。
今、国内外で両裾に深刻に広がる“分断の人類社会”で、前記長沢美津子書評委員の「……社会に何が必要かも見える」に重なり、“共「食」の地球地図”の具体的活用の宿題をいただき、緊張しています。
さらに追い打ちを書けるように、この「つぶやき」を書いている最中に、濱野敏子氏からメールが入りました。大学院修士課程(食生態学研究室)を修了後、日本国際協力ボランティア団体やユニセフの現地プログラム等をカンボジア等で国際保健協力活動を精力的に実施、帰国後は、「在日カンボジア難民1.5世の社会的適応のプロセス」に注目した実践と研究の両面から活動を重ねています。
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前略……
昨日の朝日新聞の「読書」欄の「今年の3点」に『共食と孤食』が入っていて、とても嬉しくなりました。
改めて「その人らしい」ということの意味を考えました。何をどう食べるかは、その人のその時その場の状況、そしてその人のこれまでの人生の総体によって決められていると考えると、自分の食を大切にすると同時に、他者の食への敬意を感じます。そこにその人の存在が現れ出ているからです。
……後略
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書評で取りあがられた「3件」が重なり・つながって評されていることから、まさに共「食」の視野・視点が、多くの人のそれぞれの生活や活動を提案いただき、感謝に耐えません。
19人の書評委員のそれぞれの「3件」が全部重なり合い、多様な重層性を創り出す視野の中で、「共食と孤食」の位置づけや深まりを見直して「地球地図」にマッピングしてみたいと思います。