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2021-06-04

NPO法人食生態学実践フォーラムは若手パワーで、着実な活動を前進することになりました。

5月31日で、理事長を“卒業”させていただき、以下のあいさつをいたしました。

 

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大変長い間、お世話になりました。ありがとうございました。

 

本日、総会(オンライン)の開会あいさつで、お詫び申し上げましたように、大きな課題を残したままの退任を、どうぞお許しください。NPO法人食生態学実践フォーラムとしての出発から18年、支えてくださった、数えきれないほど多くの方々に、心から感謝申し上げます。

 

NPO設立の準備段階というか、胎生期に当たる「食生態学実践グループ」が宮城県蔵王山麓に「食生態学実践セミナーハウス」を建て、「食事づくりセミナー」をはじめたのが1983年ですから、この間の20年をプラスすると38年間、お世話になったことになります。本当にありがとうございました。

 

NPO法人食生態学実践フォーラムは一人残らずの人々の、ぞれぞれの生活の質と環境の質の、よりよい共生、持続可能な共生を目指して、「食を営む力」を育てあうことをめざしてきました。この方向は(「食生態学―実践と研究」13号の指定発言にも書かせていただきましたが、)今世界中で共有され、実行へと努力されているSGDGsのめざす「5つのP」やその実現のための多様な「17のゴール」にしっかり重なってきます。

 

実は昨日(日本時間で、5月23日朝2時から)、世界を代表する栄養教育の第一人者と評されているイソベル・コンテント教授のコロンビア大学退職記念・国際シンポジュム「変動する世界における栄養教育」がありました。世界各地から、栄養教育学の研究者や実践者が参加した、熱っぽい・素晴らしい講演でした。

イソベル教授は講演最後の総括に「変動する世界の栄養・食教育」のキーポイントの一つは「地域の栄養・食の営み」の全体をできるだけ広く俯瞰する(Expanded scope)、その中の重要課題とその構造を見渡し、解決への目標・計画・実行、評価……これらのための研究・理論・実践を循環的にすすめることの必要性と可能性を強調されました。

まずイソベル教授らがよく活用される「食物選択や食関連行動を決定していく社会・生態学モデル」の概念図を出し、個人・家族・組織・地域へと様々な要因の重層構造が示されました。

驚いたのは、その次に、なんと、1975年に足立らが国際栄養学会議で初発表し、以後皆さんとともに実践・研究・実践の繰り返しで展開・育ててきた、皆さんおなじみの「地域の食の営みの概念図」、その小学生バージョンの図がスライドいっぱいに映し出されました。びっくりして、うれしくて、でも緊張して、涙が出てきました。「地球環境が大変化している今こそ、世界で求められている栄養教育」を問う国際シンポジュムで、世界の関係者に発信されたことになります。NPO法人食生態学実践フォーラムのコンセプトや実践と研究の基礎としてきた「地域の食の営みの概念図」の方向でいいんだ、と勇気をもらいました。実践と研究の両面から、十分な吟味を重ねて、日常の実践に役立つ内容と表現法に進化・発達させつつ、活動をすすめていいんだと、勇気をいただきました。

これから私はNPO法人食生態学実践フォーラムの一会員として、私にできることを(私も85歳になりましたので、できる範囲で)自由にやらせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

その一つは、今まで問題提起し、執筆した論文や著書等の整理をして、会員の皆様にも活用いただけるような本や教材にしたいと思います。まず、近いうちに、女子栄養大学出版部から、コロナが厳しく問いかけてきたこの機に「共食・孤食の真髄」(仮題)を、発行しますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 

これからもお世話になることが多いと思います。よろしくお願いいたします。本当にありがとうございました。