「大学生の農業体験」意見交換会から
「食」体験が多様な学習ニーズのもと、それぞれの学習課題に対応した教材性を発揮していることに乾杯
先月、関東農政局が主催する「農業体験意見交換会」のコーデネーターを担当した。開催の目的は第2次食育推進基本計画の数値目標にあげられている“農林漁業体験を経験した国民の割合の増加”の可能性について、朝食欠食等食生活の問題点を多々かかえる大学生世代をとりあげて検討することであった。
すでに実績を重ねてきた関東ブロック内にある7つの大学の担当教員たちと関東農政局の担当部門関係者に加えて、内閣府、農水省、厚労省、文科省等の食育関係者が多数参加して行われた。
農業体験を、およそ80年間の長期にわたって食の専門性とのかかわりで大学教育の中に取り込んできたタイプ、大学教育理念の一つに掲げて全学生が参加しているタイプ、生産活動や環境問題に熱心な特定の教員が授業や専門ゼミで少人数だが質の高い“体験”を共有しているタイプ、出発は特定科目の演習の一部であったが、目的に沿った構造的な展開等が文科省の教育GP等に評価され、全学的に地域住民を巻き込む形へと進んでいるタイプ等、どの大学もユニークな実践事例の報告であった。
“食物・生きること・環境とのかかわり、これらの循環的な関係(食育基本法でいう「食」)についての学習・研修は、環境変化の著しい地域・社会の仕組み、国際関係、これらを俯瞰しつつ進める経営や政策論の学びにおけるビビットな教材である”という認識で、農業体験プログラムを試行している努力に感銘を受けた。
しかし、こうした学びが学生自身の日常生活へつながっていない、つなげようとしていない(?)現実も明らかになり、農業体験が単に“農業”体験に留まってしまい、「食」の視野で、「食育の環」の形成につながりにくい課題を提起した交換会になった。
具体的なやり取りはここをご覧ください。
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